第二回「表現の太陽」目次
1.【新宿にて】
2.【表現の太陽は東山のカウンセリング企画?】
3.【声優は闘い。】
4.【アダルトも一般作も私にとっては同じ。】
5.【上京。】
6.【厳しい声優の世界。】





 
7.【“声優”は末端の作業者。】
8.【居場所を探して。】
9.【初めてのスタジオ収録。】
10.【素の計名さや香。】




 



【新宿にて】



―東山
初めまして、東山です。お忙しい中ご参加頂きありがとうございます。どうぞよろしくお願いします。

―計名さや香(以下、「計名」)
計名さや香です。よろしくお願いします。

―東山
あの〜、早速対談に入らせて頂きたいんですけれど、ウチのサークルは約二年前に始めたんですが、始めた当初は、声優さんのランクと言いますか・・・ネット声優とプロ声優の垣根というのがちょっと解りにくかったんです。例えば事務所に所属していらっしゃる方ですと、単価がやたらに高いのでわかるんですけど、さや香さんってフリーじゃないですか?同人にも出て頂けるし、商業も出てらっしゃる。

―計名
ふんふんふん。

―東山
で、僕は二十歳からずっと自主制作の企画をやって来たので、どうしても拘りは強い方なんですね。さや香さんも歌を歌われてるってことですけど、舞台って生で反応が返ってくるじゃないですか?凄い怖いことではありますよね。

―計名
うん。わかります。

―東山
僕は主催者側ですけど、お笑いとか演者としても出てましたし・・・

―計名
おおおっ、そうなんですか!?お〜。

―東山
ええ、最初はそうだったんですよ。

―計名
はあ〜。

―東山
で、今回、これがさや香さんに会いたいって思った直接のきっかけだったんですけど、
『じゅぶジュボ!!伝説のフェラ痴女─麗子─』の中で、淫靡( いんび)って言葉があったんです。“淫靡な”って・・・

―計名
うん、ありますね〜。

―東山
で、麗子が完成して、いざ納品するぞ!って段階になってから “淫靡のイン トネーションがおかしいから出来ることなら変えてくれ”って さや香さんから連絡が入った。その時は、“ええ〜っ、もうUPするところやんか〜”って思ったんですよ。

―計名
うんうん。

―東山
でもね、実は、すっごく嬉しかったんですね!

―計名
そうなんですか?

―東山
そういうプロ意識が。それ以来、僕の中でずっとさや香さんのことが残ってたんです。

―計名
ほお〜っ。ほおお〜っ!(笑)。

―東山
で、最初は失礼ながら、計名さんのことも存じ上げてなかったので、渡辺(当サークルシナリオライター・渡辺淳司)に言われて検索してみたんですね。

―計名
うん。

―東山
そしたら、プレステ2のソフト(『ピュアキュア リカバリー』株式会社アルケミスト)にも出られてたり、イベントなんかで腕相撲してる様子がでてきたり(笑)・・・あれ、何ですか?

―計名
(笑)あのとき強かったんですよ、負け知らずだった、ハハハハッ・・・。

―東山
だから、その業界では名前のある方なんだ〜、と思って。むしろ、お上手だっていうのが失礼なぐらいで・・・麗子のキャラのイメージも強く残ってい たんですが・・・。

―計名
ああ〜。本当、済みません!

―東山
いっ、エッ!?・・・何で“済みません”?

―計名
イベントとかに呼んで頂くときによく言っちゃうんですけど・・・私、あんまりこういうキャラ(麗子)いただかないんですよ。どちらかというと真面目なお姉さんだったりとか・・・

―東山
大人っぽい感じですか?

―計名
大人っぽい女の子じゃなく、大人っぽいお姉さんっていう感じが多かったり、もしくは18歳以上だけど(笑)、チビッ子のようなキャラだったりとかなので 、あんまり人前に出て行くのが好きではなく ・・・それは、ユーザーにキャラのイメージを持ってて欲しいんですよ。

―東山
なるほどね。

―計名
私が出て行っちゃうと、“ああ、この人なんだ”って解かっちゃうじゃないですか?でも、喋ると声も全然違うし、“ワッハハ 〜”みたいな人だし、何か、申し訳ないような・・・。でも、私が出ることで作品の宣伝になるのであれば・・・私、作品が大好きなんですよ、どんなものでも。 だから、沢山の人にプレイして欲しいんですね。極端な話、売れなくてもいいから、沢山の人にプレイしてもらえたらそれが幸せなんですよ。そのお手伝いを私が顔を出すことで出来るのであれば、喜んでっていうスタンスなので・ ・・。

―東山
なるほど。







【「表現の太陽」は東山のカウンセリング企画?】



―東山
僕は、(サークル活動を)2年やってきて・・・例えば、ウチの渡辺君なんかは優秀な子なんで・・・

―計名
(笑)出来る子なんだ。ハハハッ!

―東山
ええ(笑)。淡々と原稿書くんですけど、僕は元々アダルトの畑じゃないせいか、面白くなくなってきたんですよ。音声やってて。

―計名
はあはあ、なるほど・・・。

―東山
つまり、フィニッシュシーンはフェラか挿入か、中出しか・・・

―計名
ふんふんふん。

―東山
音声のジャンルって・・・例えば、プロが作った普通のCDドラマでも、僕はあんまり面白くなかったんですよ。地味だなって。でも、じっくり腰を据 えて聞くと、頭の中で好きなように絵が動くので、凄く深いジャンルなんですけど、制作側として作っていくとだんだんマンネリ化してくるんですよね。何の興奮もなくなっ てきたんです 。

―計名
う ん。

―東山
で、ちょっと変えようと思って作風を変えると、今度はお客さんを置いてきぼりにしてしまう(笑) 。

―計名
うん。うん。

―東山
僕自身も凄く悪いところなんですけど、『淫語Rush!!』って作品があるんですが、これはお客さんをジェットコースターに乗せてやろう!って思ったんです。・・・要するに飽きたんですよ、普通のが。“ああ、つまらない。アダルト書きたくない”って思って・・・大阪に居ながらにして、宅録で上がってきた音声を頂いて、編集して・・・“お疲れ様でした。入金しました。”って・・・

―計名
また、それ(宅録) も一つ問題なんですよね〜。

―東山
ええ。それで、僕は“これはマズイ”と思ったんです。要するに緊張感がなくなってきたんですよ。売れ筋を狙わないインディーなのに、インディーの中でドカッと落ち着いてしまった感じがしたんですね。

―計名
う〜ん。

―東山
で、クリエイターの方たちに会おう!と思ったんです。実際に会って、お話しすることで、何を得るのかは解からないけどやろうと。パターン化されたアダルトの表現が嫌になってしまって・・・ちょっと疲れちゃったんですね〜。

―計名
(笑)じゃあ、今回の対談、回を重ねるごとに、東山さんのインタビュアーとしての何かが変っていくかもしれないですね・・・。

―東山
うん。

―計名
昨日よりは今日の方が少しパワー貰ってるし、もしかしたら私が今日パワーを与えるかもしれなくて(笑)。ハハハハッ!

―東山
“お前のカウンセリング企画かい!!” って(笑)。

―計名
ハハハハッ!







【声優は闘い。】



―東山
いやね、さや香さんのクオリティー は一作だけですけどわかった。あの原稿をこうやって返してくるんだって。で、以前“私はスタジオ収録入る 前に6日間読み込んでいく”っていうのをお聞きして、プロとして当然だけど、やってる人は実は少なくて・・・。さや香さんは一個のお仕事が終わったらもうそのキ ャラクター終わりですよね?

―計名
大体そうですね、ゲームの場合は、悲しいけれど・・・。

―東山
余韻に浸る間もなく、次の仕事が待ってるんでしょうし。それをひたすら繰り返す作業って・・・僕は役者はやったことがないんですけど、そのモチベーションって、単にプロ意識だけじゃもたないって思うんですけど、ふと疲れた時ってどういう風に考えますか?

―計名
なんかね〜、正直、仰る通りで・・・まあ、演技だけじゃないと思うんですけど、同じことやってると人間飽きると思うんですよ。で、それを続けるっ ていうことになるとモチベーションが必要じゃないですか?モチベーションを上げる何かが。

―東山
はい。

―計名
で、それはプロ意識だったりとか色々あると思うんですけど。正直、エロで・・・エロの場合ってユーザーが求めるものっていうのが大体同じものだか ら、クライアントさんが違っても私に求められるものは大抵一緒なわけですよ。

―東山
はい。

―計名
AのクライアントもBのクライアントもCのクライアントも違う作品をやってるんだけど、出したいものは一緒っていう風にマンネリになっちゃいます よね。私的には・・ ・。

―東山
そうですね。

―計名
だけど・・・あんまり飽きないんですよね!私、基本的にマイクの前に立つのが好きらしくて、マイクの前に座るとやりたくなるんですよ。あの・・・ 挑戦したくなるんです!

―東山
へえ〜。

―計名
私は、演じること好きだし、作品も好きだし、キャラクターも好きなんですよ。作品に出てくるキャラクターっていうのは、その作品の中で生きている 子たちだから、喋れないその子たちに代わって私が声を入れる・・・。

―東山
うん。

―計名
私って、考えてやるタイプじゃなくて、イタコタイプなんですよ 。だから、そのキャラクターを凄い想像して、その子の生い立ちから、着ているもの、 洋服だとかまで想像して、“私がその子自身だ!”っていう風になるまでやるんです。

―東山
憑依したような感じですよね・・・。

―計名
はい。私は考えて喋るんじゃなくて、素直に喋ってるだけなんです。

―東山
だから、あんまり加工しないで、感じたままでやる・・・。

―計名
そうです。私がその人になれば、素直に出した言葉が本物のはずでしょ?っていう考えで喋るタイプなんですよ。まず、マイクの前に座って最初にやることは、キャラクターに来て頂く。一杯、一杯考えて・・・そこは考えるんですよ。考えて、考えて、なるべくその人に近づく。で、あとは自然に、台本にある自分の書き込みだとかで、思い起こして喋ってく・・・。そのときは台本書いて下さったライターさんや、クライアントさんから挑戦状をもらっているような気持ちなんですね。

―東山
うん。

―計名
“これを出来る?”“やってみろ!” っていう。だから、私は“いいよ、やってやるよ!”って・・・

―東山
負けねぇぞっ!って(笑)

―計名
(笑)そう。負けず嫌いなんで。・・・で、さらにその奥にはユーザーの方たちがいるじゃないですか。ユーザーの人は私が出した音声を聞くことが全 てなわけなので、その向こうにいるユーザーからも逆に挑戦されてる気がして・・・

―東山
ほう。

―計名
“これが欲しいんだよ!”っていう要望に対して“わかったよ!それを返してやるよ!”って・・・

―東山
双方と戦っている感じですね。

―計名
うん。もう、全て闘いなんですよ。で、しかもそれが嫌いじゃない。だから、それってマンネリじゃないじゃないですか?

―東山
はいはいはい。

―計名
この作品もあの作品も同じ人しか聞いてないんですってことじゃない以上、そこには新たな要求があると思うし。だから、同じフェラって言われたって 、フェラだからチュパッチュパってやってるわけじゃなくて、じゃあ、その時、麗子だったら、麗子がどこをどういう風に舐めているのか?・・・

―東山
その状況を想像してってことですね。

―計名
うん。で、その時舐められている男はどういう気持ちで、何を麗子に望んでいるのか?とか。あと、麗子は何故そういう行動をとったのか?とか、そう いう細かいところを考えたいんですよ。だから、飽きている暇がない・・・そういう感覚が一番近いですかね。

―東山
何か、今のを聞くと・・・要するに、絵が見えてくるまで台本を読んで近寄っていく感じですよね。

―計名
そうですね。逆に絵が見えないでやれって言われると出来ないんですよ。だから、台本がないのにやってって言われると、本当に私、何にも出来ないんですね。よく、“キャラクターの声やって〜!”って言われるんですけど・・・その時に言うのは“台本持ってきて〜!”って。“台本があると出来るんだけど”って(笑)。

―東山
う〜ん。そういう話は聞いたことありますけど、さや香さんもそうなんですね。

―計名
う〜ん。私はそうですね〜。

―東山
何でしょう!こうなってくると、 声優というのは・・・先ほどイタコって話がありましたけど、イタコって例えは究極ですよね。魂がそれになるとい うような・・ ・。そっか〜、闘ってるんだ〜。

―計名
う〜ん。特にエロはそうですね。

―東山
特にエロはそう?

―計名
だって、エロじゃないのもそうなんですけど、エロってどうしてもマンネリ化じゃないですか。

―東山
はい、はい。

―計名
だから、毎回同じことしてたら自分も飽きちゃうし、聞いてる人も飽きちゃうと思うんですよ。だからこそ、台本が同じようなものに感じたとしてもシ チュエーションとかキャラが違えば、やっぱり違うのが当たり前なわけで・・・それが出来ない自分というのが悔しいし、やりたい事があるのに、技量がなくて出来ないのは もっと悔しいんですよ。だから、今の私が出来る最高のものが出せるよう に、・・・それが人が聞いたら至ってないものかもしれないけど、だけど“今の私にはこれが精一杯”ってところまで出さないと。一年後の自分がそれを聞いて“うわ〜、コイツ下手くそ、出来てねぇ〜”って思ったとしても、そのときの自分が精一杯出していれば、きっと後悔しないような気がして、それ(闘い)がないと飽きちゃうんですよ、やっぱり。

―東山
ふ〜ん。なるほど。

―計名
そうやってないとね。保てない・・やっぱり(笑)。

―東山
(笑)。僕がいつも思っているのは、一作品書いたら、ちょっとでいいから自分が成長してたいんですよね。

―計名
わかるっ!!

―東山
ちょっとでいいから。

―計名
うんうんうん。そうですよね〜!

―東山
でないとやりたくない!だから、原稿を書きながら、ユーザーとも綱引きするわけですよ。勝手なユーザー像を一度作りますから“この作品はこ ういう人たちかなって”・・・。

―計名
うん。

―東山
しかも、既に世に出てるものはなるべく作りたくないんですよ。だから、この表現はエロではないから、エロとしては評価は落とす。だけど、例えば“この何とかちゃんってキャラクターは、やっぱり明るいよ!”って。だから、エロスは軽減するかもしれないけど、この子の元気だけは殺したくないとかね。だ んだんそうなってきたんですよ・・・そしたら明るいコが一杯出るようになってしまった(笑)

―計名
ああああ〜、そっか〜(笑)。うんうん。

―東山
でも、何がそうさせたのかなって思ったら、この前秋葉原で事件があったじゃないですか?(2008年6月8日発生・秋葉原通り魔事件)

―計名
ありましたね。

―東山
あの事件の後なんです。僕がそれやったの。無差別だったからどうしようもなかったけれど、この失望感をどうにもできないのかなって思ったんですね。

―計名
うん。

―東山
アダルトにそれを反映させるなよ!って話はあるんですけど、悔しかったんです、何か。クリエイターとして世の中に何の影響も与えられない現実とか 。“アダルトを聞いて元気になる”ってことは、相反することで絶対に無理なのかな〜とかね、ああいう事件があると作品に反映しちゃうんです僕は・・・

―計名
う〜ん。

―東山
だから、僕はアダルトライターは向いてないんです。







【アダルトも一般作も私にとっては同じ。】



―計名
やあ〜、でもどうなんだろう。私、アダルトとかアダルトじゃないとかは全く線引きがないんですね。例えば、あるキャラクターが純愛モノの一般作だ ったとしたって、その子に好きな男の子がいて凄く仲良くなったとしたら、それはHなことだってしたくなるじゃないですか?

―東山
うん。

―計名
それで、Hしているところを描いたのがアダルトで。18歳以上じゃないとプレイできないってカテゴライズを日本ではされちゃうんだよねっていう風 にしか考えていないから・・・だから、別に、その子が生きている限り自然なことだと思うから、私自身の名義も変えないし、演じることも全く抵抗がなく・・・。

―東山
はあ〜・・・、僕、今回大阪帰るまでに色々な方と会うと思うんですけど、凄く共通のものを感じているんですね 。それは、皆さんマクロとミクロの両方の視点を持ってると思うんですよ。

―計名
マクロとミクロって何が違うんだ!!( 笑)

―東山
例えば・・・サザエさんでエロビデオは作れるということですよね!カツオとわかめがいるんですからって。それを、目的が違うから省いているだけで 、男と女のSEXっていうのは自然の現象ですから、それをわざわざエロく表現するってところに僕らはいるかもしれないですけど、SEXそのものがエロいかっていったら 、正直、エロくも何ともない行為ですよね。

―計名
なんかこう、18禁の声優さんって、“エロい作品は本当は嫌々なんです〜!!”って思ってたら、たぶん続けられないんじゃないかな? ・・・やってもすぐに辞めてしまったりだとか。私は嫌いじゃないし、“大好きかっ?”って言われたら、一般作と同じなので特別好きではなく・・・アダルトも一般作も同じです。本当に(笑)。

―東山
それは凄く嬉しいですね〜。僕ね、声優さんも、いわゆる18禁声優っていうとまだ誤解されてる部分があって。アダルトだから、じゃあ、アンアン! 喘ぐだけで演技力なくていいかって言ったら、全然関係ないって僕は思ってて。

―計名
うん。

―東山
むしろ僕はあえてね、今回の企画の趣旨でいうと“アダルトの方が難しいよ!バカヤロウ!!”っていうのがあるんですよね。

―計名
私もそう思います!

―東山
だって ・・・そこ・・・・

―計名
(笑)だって!台本見たら“あ”と“ん”と“い”しか書いてなかったりするんですよ!

―東山
(笑)・・・・。

―計名
それが、句読点だとか、三点リーダーで何とか保たれてて、時々“○○く〜ん!!”って 言ってるだけのところからHになったり・・・もう 、思い切り行間読んで、その時の状況を想像しないとできないじゃないですか?
“ア ハハッ”って書いてあれば、誰もが笑いってわかるし、“ウエ 〜ン” って書いてあれば泣いてんだってわかるけど、“あー、んー 、あー、あーっ”しか書いてなかったら、もう、想像して演技しないと、聞いてる人は気持ち良くなれないじゃない?私達に求められていることはそこなわけだから、そこが大事な部分だと思うんですよ。

―東山
あの〜、18禁声優っていうと、結構下手でも出れたりするっていうイメージが未だにあるのは・・・それは、喘ぎ声を出せば尺が埋まる的な考えなんです。でも、18禁の演技って本当に難しいです。突拍子もない場面変化を瞬時に理解して演じる能力が必要で・・・先ほど言ったオナニーだって、ただアンアン言ってるだけじゃ気持ちよくなれたりしないんですよね。でも、簡単にできると思ってる人が多い。

―計名
まあ、実際、出るだけなら出られるんですよ。それは、需要とかの問題があるから、供給量も結構大きいので、年齢制限あるのとないのでは、制限のあ るの方が数が多い分、求人も多いから出ることはたぶん簡単だと思います。







【上京。】



―東山
さや香さん、キャリア何年ぐらいですか?事務所時代も全部入れて。

―計名
事務所時代・・・私、実はインターバルがあるんですよ。

―東山
へ〜。兵庫出身でしたよね?

―計名
兵庫生まれの大阪育ちなんです。で、大阪で養成所にいて、大阪の事務所に一年半くらいいたんですけど、そのあとこっち( 東京)に出てきて・・・で も、やっぱり直ぐに声優なんか出来るわけじゃないんですよ。だって、大阪の時は実家だったからそこいて、ただ御飯食べて・・・生きてることにお金かかんなかったわけで すよ。でも、こっちに出てきたら、ただここに居るっていうだけで一日に何千円ずつ減っていくわけでしょ?だからやっぱ稼がなきゃ、ここに居ることすら出来なかったから 。最初はとにかくお金を貯めたんですね。

―東山
はい。

―計名
で、生活がなんとかなるようになってから、そこでインターネットっていうものに出会って・・・もともと知ってはいたんですけど、実はインターネッ トを使って募集とかをしてるんだっていうことに偶然気付いたんですね。

―東山
はい。

―計名
それで、“インターネットを使って声優ができるのかもしれない”ということに気付き、運も重なって、今に至るので・・・私、事務所にいた時のコネって一切使ってないんです。だから、初めてPCにマイクを挿して喋ったって方と同じところから始まってるんです。

―東山
ええ〜、そうなんや〜!?

―計名
そうなんですよ。だから、私、事務所にいたかも知れないし、養成所通ってたかもしれないけど、コネは使ってないんです。皆と本当に同じなんです。

―東山
そしたら、メチャメチャ凄いじゃないですか、さや香さん。

―計名
だから、私、時々自分がなんでここにいるのかわかんなくなりますよ。

―東山
腕一本じゃないですか。

―計名
まさに腕一本です。(笑)

―東山
さや香さん凄いわ、それ〜。

―計名
私が最初にクライアントさんに出したものって、録音した声だけなんですよ。私が直接、サンプルとかを持っていって、顔を出して“お願いします”っ て行ったわけじゃない。だから、養成所だとか、事務所の話は一切言ってないし、まあ演技の勉強はしてましたぐらいはあるけど・・・それだけなんです。

―東山
じゃあ、本当にネット声優の自己紹介と一緒ですよね?

―計名
うん。そうです。特に最初なんかそうです。ただ、気に入ったキャラクターがいて、このキャラクターやってみたい!って思って、それで、普通に、み んなと同じように応募したっていうのが一番最初で。で、たまたま運よく選んでいただけて・・・で、まあ、そこから始まったんですけど・・・

―東山
単身、大阪から来たわけですね?

―計名
そうです。

―東山
で、単身出てきて・・・今の状況がある?

―計名
そうです。

―東山
いや、僕はてっきりさや香さんは、養成所行って、そのコネであったり、プロの方から“こんな仕事どう?”って言われて・・・っていうイメージしかないですよ。

―計名
ゼロゼロゼロ!!

―東山
いや、凄いな〜。

―計名
それは最近になってからの話です。一回やった所からもう一回お仕事もらったり、クライアントさんではなくエンジニアの方とか、スタジオの方が気に入ってくれて、別の企画がたまたま来たときに、“計名さんっていう人がいるんですけどどうですか?”って言ってくれて、そのクライアントさんが更に気に入ってくれて・・・っていうのは最近ですね。だから、誰かからの紹介で“計名さんやってみませんか?”って言われたことは殆どないですね。

―東山
う〜ん。








【厳しい声優の世界。】



―計名
基本的にプロであろうが、プロでなかろうが声優ってオーディションなんですよ。全部。

―東山
なんか、公開オーディションとか色々やってますよね?大きいところはね。

―計名
はい。プロの方もオーディションです。基本的に。名指しじゃない限り・・・でも、名指しって殆んどないんですよ。

―東山
へえ〜、厳しいな〜。で、そこを勝ち上がってきたと・・・。

―計名
・・・私はたまたま気に入って頂けて、それがご縁でっていう感じですね。大体のクライアントさんが、2作目作るときに声かけて下さったんですよ。 それが本当に嬉しいし、私にとってはそれが全てって言っていいぐらい価値のあることだったんですね。

―東山
うんうん。

―計名
だって一回やって、失敗しちゃったり気に入らなかったら、代わりなんていくらでもいるじゃないですか?声優って飽和してるわけだから。でも、一度 やった上で、もう一度お願いしたいってことは“気に入って頂けた”。少なくとも、気に入らなかったわけではないっていう事じゃないですか。
・・・その 時その時、一回切りが本番で、失敗してしまったら二度と呼ばれない世界なんですよ。だから、一回一回が真剣だし。お会いしてもそうだし、お会いしなくてもそうです。・・・麗子の時は宅録でお渡しする形だったんですけれど、あの音声を渡して、もし、東山さんや渡辺さんが“計名さん、良いと思って使ったけど、聞いてみたらダメだ!”って思ったら普通、使わないでしょ?

―東山
そうですね。

―計名
別の人に頼めばいいじゃないですか?わざわざそんな同じ料金払ってまで・・・同じ料金払うなら違う人使えばいい、気に入った人使えばいい・・・当 たり前じゃないですか?だからこそ、一回一回が本番だし、真剣だし、怖いんですよ!!そのためには私自身 向上したいって思うし、それこそ闘いだし・・・もう、本当に失敗が許されない。

―東山
う〜ん。

―計名
だから台本を読むんです!私に出来る精一杯がこれだから。

―東山
例えば、6日とか読み込む時って外出とかほとんどしない感じ?

―計名
しないときもあります。

―東山
あっそう。

―計名
やっぱり、内容によって2.000ワードありますって言われた場合は、収録の前日をオフにしちゃったりしますね。何があってもいいように・・・

―東山
目なんかも負担がかかりますよね。僕も目が悪いけど、疲れやすいし・・・僕がその台本読むとなったら眼科通うハメになると思う(笑)。

―計名
ハハハハッ。(笑)そうですね。・・・

―東山
それをもう、何年かやってるわけですね。

―計名
何年もという程ではないですけど、数年はやってますね。

―東山
なるほどね、いや〜よくわかった。








【“声優”は末端の作業者。】



―東山
本当にプロ声優ですね。

―計名
でも、本当にね、何がプロで何がプロじゃないかは私、未だにわかんないですよ(笑)。

―東山
いや、僕ね、客が“プロだ”って言ったらプロだと思う。

―計名
でも、わかんないですよね?境目なんて?・・・。

―東山
“プロ”っていい意味で“それが大好きだ”っていう病 気だし、“選ばれた人”ですよね。中学の時にこれやりたい、 高校になっても、社会人になってもやりたいって・・・憧れだけの人はやめてくじゃないですか?

―計名
うん。

―東山
自分でも“好きだからやってる”としか言えない、押さえきれない気持ちを仕事としてやってる人でしょうね。僕は、今回の企画名を『表現の太陽』し たのはそういう自分でも抑えられない純粋な気持ちは太陽のエネルギーに似てるって思って付けたんですけど・・・

―計名
うん。

―東山
ただ、僕なんかでも悪いクセなんですけど、プロデュースの方に頭が一杯になってしまって、最初の太陽(純粋な気持ち)の部分が小っちゃくなってし まう時があるんです。

―計名
うん。・・・いやっ、でもね。それが普通だと思う。

―東山
うん。

―計名
私、声優だからって、台本と向かい合っているばかりではなくて、やっぱり制作される方ともお会いすることが増えるじゃないですか?打ち上げだったりとか・・・身近にクリエイターの方が多いので、多分、普通の声優さんよりもそういう部分をよく見てると思うんですよ。

―東山
はい。

―計名
それを見てて常々思うのは、プロデューサーとディレクターというものがあるじゃないですか?これ一緒じゃダメだなって思うんですよ。

―東山
はい。

―計名
プロデューサーというのはモノを作る・・・いかにして儲けるかを考える人で、“儲ける為にはこういう風にした方がいいよね”って “ユーザー はこれを望んでいるんだよね”っていうのを考える人。で、ディレクターというのは、そんなのはどうでもいいから“自分達は一体何をやりたのか”を常に一番に考える人。

―東山
うん。

―計名
この二人がぶつかって、ディスカッションして出てきたものがきっといいものだと思うんですよ。

―東山
うん。

―計名
だから、一人の人が両方考えてしまうと絶対無理が出てきてしまうんですよ。

―東山
はいっ!(笑)

―計名
それが多分、今の東山さんの状態で。例えば、東山さんがディレクターで・・・

―東山
スゲーッ、アドバイザーや!!(笑)

―計名
(笑)渡辺さんがプロデューサーだとしたら、二人がうまく闘っていれば、きっと自分はやりたいことやってるし、片方は“利益を考えなきゃい けないだろ!”ってやってくれる。それだったらきっとうまく行く。そういうところは上手くやってるんですよ。

―東山
うん。そうですね。

―計名
ユーザーにも受け入れられてるし、自分達もやりたいことをやっているから、楽しそうだし・・・

―東山
うんうん。

―計名
楽しいことをやってウケてもえることが最高の状態だから・・・どっちかがブワッ!て出てしまうと・・・ディレクターが上に出ちゃうと一人よがりだ し、プロデューサーが上に出ちゃうと儲け主義になってしまう。でも 、作品ってそういうものじゃないですかね?

―東山
そうですね。

―計名
ユーザーは関係ないじゃん。それが独りよがりだろうと、儲け主義だろうと、同じ千円を出して買って、自分の時間を割いてプレイしてくれているわけ だから、

―東山
はい。

―計名
やっぱり私は、キャラクターが一番だし。そうやって時間を割いて、お金を使って・・・その千円を稼ぐためにコンビニで2時間バイトしてくれている 人もいるわけだし、そういうユーザーの一人ひとりが好きだし、凄い大切だし。作品を作っている人も大好きだし・・・

―東山
うん。

―計名
だから、声優って末端の作業者なんですよ 。それまでの人がどれだけの熱意を持って、絵を描いたり、シナリオ書いたり、作品の事を考えたとしたって 、声優が適当な演技をしてしまったら、そのキャラクター死ぬんですよ、そこで。

―東山
そうですね。

―計名
だから、とても恐ろしい作業者だと思っていて・・・だからこそいい加減なことをするわけにはいかない。で、適当にして死んでしまったキャラクター にお金を出すユーザーがいて、そこからまた、“あ〜、何だよコレ〜”って思った人はまだいいんですけど、そこから感動か何かを受け取ってしまったとしたら・・・

―東山
(笑)

―計名
また申し訳なくって。

―東山
わかる!!(笑)

―計名
私が適当にした演技で、感動させてしまった!・・・“え〜っ”てなっちゃう。それが自分にとっての罪悪感にもなるし、そういう色んな一 つ一つのパーツがあって、結果的には“いい加減なことは出来ないでしょ、声優は!”って思う。

―東山
そうですね。







【居場所を探して。】



―東山
さや香さんの“麗子”は、さや香さんの技量を知ってから書いたから・・・メチャメチャプレッシャーを感じたんです(笑)。

―計名
ハハッ!!(笑)。

―東山
台本を書くのに、初めてプレッシャーをかけた声優さんが、計名さや香さんなんです。

―計名
へ〜っ。そうなんだ〜。

―東山
ええ。場数を踏んでるっていうのは、それなりのものを見てるなって。

―計名
うん。

―東山
だから、“いや〜、 シナリオ下手くそだな”って言われたくないなって(笑)。

―計名
フフフフッ(笑)。

―東山
それは、先ほどさや香さんが言われた“闘い”なんですよ。下手とは思われたくないって。最低、普通って言われたいって(笑)。

―計名
そうですね〜。

―東山
だから凄い苦労したの。あの麗子は。短い内容ですけど・・・それぐらいの声優さんとやれると僕は嬉しい。

―計名
“闘い”があるとヤル気になりませんか?マンネリだったとしても、そこに “闘い”の要素が入ってくると(笑)。

―東山
そうですね。最終的に出てくるのは“負けず嫌いの自分”なんですよね。今回の企画(「表現の太陽」)も、実は一度引いたことがあって・・・でも、 もう一人の自分が“お前がやめるなら俺にやらせて!”って出てくる。有名な人を使うことって、実はリスクもあるんですよ。でも、結局やりますよね。しかし、さや香さんの負けず嫌いも凄いなって思う・・・ここまで来たんですもんね〜。スタートが皆と同じ条件だったなんて思えない!

―計名
スタートはゼロですよ。本当にゼロです。本当の意味でゼロです!大阪だったので・・・大阪は声の仕事自体が・・・今はどうかわかんないですけど、 その時はないんですよね。もし、大阪の会社で声優が必要になっても、東京に発注するんですよ。

―東山
あ、そっか。なるほどね。

―計名
声優は東京にいるので。

―東山
はいはい。

―計名
だから、声優をやりたいのであれば・・・とりあえず東京に出てきたって住むだけでも大変なわけだから、まず地元でやった方がいいよ!ってよく言われるんですけど、私はそうは思わない。とりあえず東京に来ないと話にならない気がします。地元で精一杯必死に頑張るっていうのと、東京に来て、生活も頑張る、声優も頑張るっていう方が、圧倒的に(声優に)なる可能性は高いと思います。

―東山
なるほどね〜。

―計名
自分の経験からの考えですが。

―東山
うん。







【初めてのスタジオ収録。】



―計名
声の仕事は、事務所に入って二週間目でオーディションがあって、それで何故か受かってしまったんですね。

―東山
ほうほう。

―計名
その時、私が一番下のペーペーだったから、生まれて初めて本格的なマイクを見て、どういう風にマイクの前に立っていいかも解からなくて、距離も解からなくて ・・・ポップガードって丸いものがあるんですけど、このポップガードが何か解からなくて“すいません!フタかかってるんですけど!!”って言って。

―東山
ハハハッ!!(笑)

―計名
(笑)本当に言ったんですよ!“フタ付いてるんですけど〜”

―東山
初めてだしね。

―計名
“どうしよう”って、避けようとして“触っていいんですか?”って言って・・・“いや、それは、そこに向かって喋って 下さっていいんですよ”って・・・でも、 マイクが凄い高い所にあって、私、マイクが高い所にあるってわかってるんですけど、触っていいのかわかんないし、こうい うもんなのかって思ってやってたんですけど、

―東山
ハハハッ(笑)。

―計名
“すいません!マイク高かったですね!”って下げてもらって、“ああ、マイクって下げて喋っていいんだ”って本番で知ったんですよ!養成所3年いて初めて知ったんですよ。私が習ってたところは演技が出来れば、声の演技はできるからっていうスタンスだったので、養成所で習わなかったんですね

―東山
はい、はい。

―計名
で、ペーペー過ぎて 、たまたま別な役で先輩もいたんですけど、先輩に聞くこともできなくて・・・そしたら先輩の方から“大丈夫、聞いていい のよ〜”っ て言ってもらって。それが初めてマイクで声を録った時で、だけどそれっきりマイクの前で声録ってなかったし、他は舞台だったんです。

―東山
うん。

―計名
で、“私、舞台も楽しいし好きだけど、やっぱり声がやりたいからいるんだ!”っていうことで事務所を辞めて、こっち(東京)に来て、インターバルが凄いあって・・・その後は自分で自宅で、ちっちゃいマイクでMDに録音した音声が初めて送ったインターネットでのオーディションでたまたま採って頂けた。そこから始まってるんですよ・・・終わりっ!・・・“終わり!”みたいな(笑)そして、“今っ!”みたいな!アハハハッ。(笑)

―東山
いや、でもね!この話もね、“さや香さんもそうなんや、私も!”って思う人もいると思うけど、確かにある程度活躍できるまでにそういう パターンもある。でも、少なくともさや香さんはそれまでの間もプロ意識でやっていたわけでしょ?だから、不思議じゃないんですよね。“そうや、そういう人はそり ゃあいくで〜!”って思うけど・・・でも、僕はそう思ってなかったから結構ショックだった。

―計名
ええ〜〜〜っ、そうですか〜!?

―東山
いや!ショックっていうのは・・・

―計名
あ〜、うん、いい意味でですね〜。アハハハハッ。

―東山
うん。僕は養成所とかは行かないで自主制作でやってたでしょ。だから、養成所行ってる人たちっていうのは、ある意味ライバルだったの。

―計名
うん。

―東山
事務所っていうのはもっとデビューさせるように・・・いい子がいたら“この子はウチの出身です”みたいに、ひたすら売り込んでくれるものだと思ってたんで・・・逆に、今、さや香さんの株が上がりっぱなし!

―計名
アハハッ、本当ですか?そいつは良かった!!(笑)

―東山
勝ち取った!みたいな。(笑)

―計名
(笑)そうですよ〜。本当にそうです・・・ただ、私だって最初っからこういう考えではなくて、一番最初は本当に甘い考えだったなって自分でも思います。でも、養成所に3年通ったり、舞台をやったりとか、1年半くらい事務所にいて、東京に出てきてインターバルの間バイトをしてたりとか、初めてインターネットでできるんだってことを知って送ったりだとか、そういう過程があったから・・・その辺りまでは自分でも甘ちゃんだったなって思いますもん!

―東山
う〜ん。

―計名
でも、その過程もあったし、そのあとの自分の歩んできた道とかがあったから、やっぱりこういう考えが定着したんだなって・・・なんか、そういう考 えの自分がスゲーとかも思わないし、本当に最初っからこうだったわけでもないし、最初っからこうだったら、その子スゲー出来過ぎてるって思うもん。どんなキャリアがあったらこんな考えになるのよ!って(笑)。

―東山
でも、あれじゃないですか。その時、その時で“向上したい!”とか“もっと上手くなりたい!”っていうのが常にあるから・・・

―計名
それはありました!








【素の計名さや香。】



―東山
ねえ。だからこそ、見るものから全部吸収できたんだろうし、人が見過ごすものも気になったりするのは、いつも何か探してるからでしょ?

―計名
そうですね。・・・私、ほらっ、大阪だから言葉が標準語じゃなかったわけですよ。まあ、元々そんなに関西弁でもなかったんですけど、細かいイントネーションとかは標準語ではなかった。周りに標準語の友達もいないわけで・・・

―東山
(笑)関西人は必ずその壁があるよね〜。

―計名
ええ。だから私にとってはテレビが先生だったかな。テレビ見て、自分の頭の中で考える言葉と違う言葉をテレビの人が使った場合、アクセント辞典を 引くんですよ。

―東山
はい。

―計名
で、引いて、“あっ、私が間違ってた”とか“あ、テレビの方が間違ってたんだ”とか。鼻濁音、無声音っていうのがどうしても苦手だったから・・ ・それも関西人の宿命なんですけど。 それを指摘される度に気をつけたりだとか、そうやって大阪の時は勉強してて、東京に来てからもそうやって勉強してましたね。

―東山
さや香さんは、自分の人間性というか、感性とかを磨くために何かしてる事とかあります?例えば、映画を観るとか・・・?

―計名
ああ〜。

―東山
だってね。ずっと台本を読み込んで、収録日が来るじゃないですか?この生活をずっとか分かんないですけど、基本ベースがそれがだとしたら、よそ様の作品・・ ・商業の映画でも観るとなったら時間を作らないといけないですよね?何か自分の感性を磨くためにしてることってあります?

―計名
何だろ〜?特にない気がするんだよな〜・・・出来るだけ自然体でいるとか、そんなんかな〜。

―東山
じゃあ 、例えば、勉強のために月2・3本映画を観るとかっていうのは・・・

―計名
私、映画、全然観ないし・・・でも、ゲームは好きなので、ちょくちょくやったりとか、人の演技とかも気になるし〜。

―東山
そのゲームっていうのはパソコンゲームですか?

―計名
パソコンゲームだったり、フリーゲームだったり、色々と。普通のコンシュマーだったりもするんですけど 。あとわざわざ時間を作ってやることが・・ ・あまり言いたくないけど使える時間が減ってきているので、日常生活の中で取ろうとしてるかな?何気なくつけたテレビからとか・・・私、パソコンを開くとホームページがMSNになってるんですけど(笑)。そのMSNのTOPニュースを見て“ああ、今こういうの流行ってるんだ〜”って思ったりとか、あと 、ただコンビニまで物を買いに行くにしても・・・私、周りを見るのが好きなコなので、友達と歩いていても、友達はコンビニしか見てなかったのに、私だけが何故か周りばっかり見てて“今日、雲一つないね”とか言って“えっ、ああホントだ〜”みたいなことが良くあるので〜、

―東山
じゃあ、日常の中で自然と観察してるんですね。

―計名
性格だと思います。“なんで気付くの!?”って言われることが多いから〜。

―東山
うん。

―計名
あと、感受性っていうのが、多分、人より強いのかな〜?喜ぶ時は心から窒息しそうなぐらい喜ぶのに、悲しむときは立ち直れないくらい悲しくなるん ですよ。

―東山
結構、激しいのね?アップダウンが。

―計名
激しいです。

―東山
いや、その方がいいんですよ!しんどい時もあるだろうけど、表現する人はその範囲内でしか演技できないから。落ち込んだとき辛いだろうけどね・・・。

―計名
う〜ん、だからね、ただ生きてるだけでスゲー疲れるんですよ!もう、何もかも全力投球だから(笑)。喜びも全力投球だし、楽しみも全力投球なのでいちいち疲れるんですよ。

―東山
僕もね、20代の時はそんな感じだったかな〜?30代になって少しのんびりになっちゃって。やっぱり反動なんですけどね・・・

―計名
うん。まあ、でも、そんな自分が嫌いじゃないのが幸いですよね(笑)。あと、真剣にお仕事に向かい合おうとするからこういう感じなんですけど、 じゃあ、いざ仕事を離れたらどうかと言うと“うわっ!ユルっ、この人!!”ってよく言われるから・・・

―東山
じゃあ、ちゃんと緊張と緩和はあるんですね。

―計名
うん。今、仕事もモードだからこうなんですけど、そうじゃない時はブヘーってして、“わ〜いわ〜い”みたいな・・・。家の中でも踊って るような人ですよ。私、気分が乗ってる時なんかは 、家に帰って来た時にクルクル3回転ぐらい回って“ハ〜イ、ただいま〜!”ってやったりする人なんですよ。

―東山
はあ 〜、それは安心したわ。(笑)

―計名
ハハハハハッ(笑)。本当にそうなんですよ!

―東山
ちゃんともう、吐け口があるのね?ハハハハハッ(笑)

―計名
(笑)んで、ペットの鳥さんと一緒に“鳥さん、わ〜いわ〜い”って。

―東山
うんうん。

―計名
鳥の羽を拾いながら“超かわいい、超かわいい”って・・・こんなんですよ!

―東山
うん、 そっか、それがちゃんとあるから追い込んで仕事出来るんやな〜。

―計名
朝起きるときとか、“貞子”みたいに起きたりしますもん。

―東山
何、“貞子”って?・・・それ、ワザと?

―計名
いや、なんか、素で。なんとなく・・・何か“ハッ!”て起きるのもメンドイし、こうやって這いながら(貞子のマネ)“歯磨きするぞ〜”って

―東山
(爆笑)。

―計名
ハハハハッ!!(笑)・・・要するに!

―東山
(笑)それ何〜?

―計名
えっ!?

―東山
そういう自分を別の角度から眺めて楽しんでるの?

―計名
いや、普通に、そんなコなんですよ〜。

―東山
ただ、そういうくだらない事を日常でしてるってこと?

―計名
うん。で、普通に友達とかが見ても“ああ、そうだね”って・・・あの〜、『よつばと! 』(あずまきよひこ・著)って漫画があるんですけど、あそこに“よつば”って女の子が出てくるんですよ、あの子に凄い似てるんですよ。

―東山
へ〜〜。

―計名
全く今の私からは想像できないらしいんですけど。もう凄い似てます!私をよく知ってる人は“よつばにそ っくりだよね”って言いますもん 。

―東山
その、“よつば”って子は・・・そういう・・・(笑)全くどういうキャラか浮かばない!

―計名
いや、流石にこういうコじゃないんですけど・・・まず5歳児なんですよ!!

―東山
はあ〜?

―計名
同じレベルってことですね。(笑)

―東山
(笑)でもさ!さや香さんの話を聞いてると、やっぱり凄いな〜って思うんですよ。

―計名
う〜ん。

―東山
でもね、それで終わると!凹むんですよ、こっちは!!

―計名
えっ、そうなの!?何で????

―東山
“凄いな〜、あのコはずっと伸びるやん!”って思うわけね。さや香さんって優等生のイメージなんですよ。“いや〜、なんか隙がな いやん”って。

―計名
ああ、仕事モードの計名さや香はそうらしいですね 。普通にしてるつもりなんですけど、とても隙のない、真面目な〜、しっかりとされた〜、隙のない 〜、人らしいですよ!!

―東山
(笑)でも、安心しました。僕も仕事のときはガーッなんですよ!だから、“物凄いオーラがあって近づき難い”って言われたりするんですよね。でも、その反面、抜く時は抜くし、まあ、基本的に仕事が大好きってのもあるけど。

―計名
う〜ん。

―東山
まあ、でも、さや香さんもそうやって“貞子”で朝起きたり、ふざけたりしてるんですね!

―計名
ふざけてるつもりはないんですよ〜〜〜!!!(笑)

―東山
ハハハッ!!(笑)

―計名
全くないんですよ!ふざけてやってるのではなく素でやってるんです!!だから、収録の時とかもときどきやるんですよ!

―東山
え、例えば、休憩時間とか?

―計名
役を演じてる時とかはやらないんですけど、スタジオに行った時とか、収録が終わった途端に・・・例えば、何のお仕事もなくただ見学に行った私とか、仕事が終わった私とかは何か違うっぽいですよ。普段だったら椅子に腰掛けて“ここの部分なんですけど、どういう風にしましょうか?”って感じで話してるのに、収録が終わったり関係ない時になると、いきなりおもむろにドーナツとかを食べながら、“うん。ドーナツチョーうめえ!食う?”みたいな・・・こんなんですよ。

―東山
はあ〜。

―計名
ハハハ(笑)

―東山
そうなんや〜、オン、オフが・・・

―計名
私的にはないけど、傍からみたらそう見える・・・むしろ、仕事の時がただ単に真面目過ぎるだけなんじゃないのかな?

―東山
もしかしたらあれちゃう?憑依してるから・・・

―計名
ああ、何か入っちゃってるのかな?(笑)

―東山
いやいや(笑)、憑依する時にね、自分が在るとその分、キャラが入らないじゃないですか?

―計名
う〜ん。

―東山
たぶんね、計名さんは、台本読むときにどんどん自分を削っていってるんだと思うんですよ。

―計名
ああ〜、でも、そうかもしれない・・・

―東山
容量空けといて、できれば理想は空っぽ。そしたら、キャラクターが全部自分に入ってくるから・・・だから、声優界のイタコなんですよ!

―計名
でも、ちょっとは残さなきゃダメなんですよ!

―東山
(笑)いやいや、もちろん!

―計名
客観的に見てる自分っ ていうのと・・・あの〜、あれですよ、リアルではなく作品っていうのはファンタジーでなきゃいけないと思ってるんですよ。声 だ けで想像させるっていうのは、リアルにやってしまうと想像できないんですよ。想像できるように少し誇張してあげないといけない 。それは、アニメだとかもそうですよ ね。絵だけ見てても全然動いているように見えないのに、演技が充たるとイキイキして見えるのは、実写よりも少し誇張した部分をつけてあげてるから、こう、バランスが取 れて本物のように見えるわけだから、ゲームはやっ ぱり誇張してあげられる自分もいなきゃいけない・・・。

―東山
・・・大丈夫、わかってますよ!(笑)

―計名
そうです。もう、完全になっちゃったらマイクの位置もわかんなくなっちゃいますからね(笑)。“計名さん!マイク外れてます!” って 言われちゃう。ハハハッ。

―東山
でも、仕事モードじゃなくなるとそんな感じになるんやな〜。

―計名
はい。 今も敬語を使っていると“計名さや香”でいられるんだけど、“敬語やめて下さい”って言われて頑張ろうとした途端に、たぶん“よつば”が出てくるんじゃないのかな〜。(笑)

―東山
そうなんや〜、へ〜。・・・では、もうそろそろ締めますけど。

―計名
はい。使えるかなどっか?

―東山
ええ。これを、上手く対談したように見せるのが彼ら(渡辺・佐藤)の仕事ですよ!(笑)。

―計名
はい。・・・そっか。

―東山
ハハハハハッ!!(笑)。

―計名
よろしくお願いしま〜す!!

―東山
済みません、予定(の時間)を遥かに超えてしまいまして・・・

―計名
いえいえ。私、別に5時間でも6時間でも平気なので(笑)。

―東山
5時間やられたらウチのスタッフが困る。(笑)

―計名
大変なのは渡辺さん達だし、ハ ハハハッ!

―東山
(笑)機会がありましたら・・・僕はまたさや香さんと仕事がしたいんです。お忙しいでしょうけど、是非 またよろしくお願いします。

―計名
はい。私もそうやって言って頂けるクライアント様とお仕事できるのが幸せなので、はい!

―東山
今日は有難うございました。

―計名
はあ!有難うございました!・・・“はあ!”とか言っちゃった!

―東山
ハハハッ!(笑)。お疲れ様でした。

―計名
お疲れ様です!

 
 
対談が終わり、新宿駅まで計名さんとご一緒した。
仕事の都合で立川にあるホテルに滞在していたのだが・・・

計名『へ〜え、立川。私、立川好 きなんですよ!だって、漢字が全部真っ直ぐじゃないですか?・・・』

東山『・・・・・・はあ〜〜〜っ???』

大人の女性というより、不思議な少 女という印象の方だった。
しかし、彼女が発するフワフワしたオーラと麗子のイメージは全く違う。
そのギャップが私には堪らなく嬉しかった。プロなのだ。
負けないぞ!と純粋なライバル心が湧き出てくる。

13年前・ ・・歌舞伎町をサンダルで闊歩してた頃の私が、少しだけ羨ましそうに
こっちを見ていた。
クリエイターとしてクリエイターに逢う。
沢山のことを学べる今が嬉しくてしょうがない。

表現の太陽
IN東京は後半戦へ進む・・・さあ、行こう!次の出会いへ。






「表現の太陽」第二回ゲスト・計名さや香 END  

 

 


●計名さや香●

1月30日生まれ A型 兵庫県出身。
声優(フリー)。

18禁ゲームのみならず、歌にお芝居と幅広い分野で活躍されている人気声優。
Webラジオ『奥山歩・計名さや香の“あやラジ!”』(Symphony提供)では、
メインパーソナリティとして楽しいトークを配信中!
これからの彼女の活躍にも目が離せません!!


詳細は公式HP“KEINAーBRAND−”へ



東山誠BRANDの最新情報をお知らせします。

 

 

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